ワンピース魂

オリジナルコーナー

オマケ

「シリル様、私・・・」
シリル「はい」
「私の人生を変えてくれた、ともに過ごしたい仲間ができたんです」
シリル「仲間?」
「はい・・その人たちは・・・海賊です」
シリル「・・・!」
「妃に迎えようとした女が海賊になっただなんて、他の国に知られてはならないことと思います。私の事はどうか、ご内密に。そして・・・忘れてくださいますでしょうか」
シリル「・・・」
「そして、こんな事あつかましくて申し上げるべきではないのでしょうけれど、1つご検討いただきたい願いがございます」
シリル「・・・願い?」
「はい。私は昨夜この国の魔女・・・いえ、ベラさんと会いました」
は続ける。
「この国にはまだ“契約者”と“承諾者”がいます。バルザック家の権限でその方々に出向いていただき、その方々に再び契約を結ぶようお願いしていただきたいんです。今度は、逆に“契約者”が“承諾者”になる契約を」
シリル「互いに契約者になると・・・」
「はい、ベラさんもやったことが無いのでわからないとはおっしゃっていました。ただ、やってみる価値はあると思うんです。そうすれば、関係としては対等になりますし、悲しい思いをする人も出なくて済むと思います。この国はもっともっと思いやりに満ちた素晴らしい国になると思うんです」
シリル「奇遇ですね・・」
「え?」
シリル「今朝方、ベラさんが訪ねていらっしゃいました。父とは懇意でして」
「ベラさんが・・・」
シリル「今のさんと同じ事をおっしゃっていました。試す価値はある。久しぶりに素晴らしい、“人らしい人”に出会えて、可能性を捨てたくないと思った、と」
「・・・」
シリル「ベラさん親子の境遇については存じ上げておりました。行方が知れなくて、今の状況を詫びる事も出来なかったんです。ベラさんさえお嫌でなければ私どもでベラさん親子の待遇は正当なものにさせていただくつもりです」
「まぁ、何て素晴らしい・・・」
シリル「・・・さんのお仲間は、今どこかで待っていらっしゃるんですか?」
「あ!!大変!お昼過ぎにはこの国を出るとおっしゃってました!」
シリル「早く行かないと置いて行かれてしまいますよ(笑)」
「はい、本当に何と言ってよいか・・・私のような者をお選びくださった事、決して忘れません!!どうかお幸せに!王様、王妃様にも宜しくお伝えください!失礼します!!」
深々と頭を下げ、は部屋から去って行った。
その後ろ姿に迷いはないようだ。
シリル「・・・悪趣味ですね」
王「お、おお。気づいておったのか」
王妃「どうなるのか気になってしまってつい、はしたない事を・・・」
シリル「・・・だ、そうです」
王「海賊か・・・やはり、何か人とは違う考え方をする娘のようじゃな・・・」
王妃「ベラ様と同じ決断をされた思慮深さ・・・慈愛の心・・・」
王「よかったのか?行かせない決断もあったのではないか?今後の接し方次第では本当の幸せはここにあったのかも知れぬのに・・・」
シリル「いいワケないじゃないですか」
王妃「?」
シリル「私が妃にと望んだ方です。契約に対する考えを聞いて、尚更行かせたくなくなった。けれど・・・」
シリル「あの目にまっすぐ見られて、そんな考えは口に出せませんでしたよ」
王妃「・・男性は時には強引さも必要だと思いますけれどね。シリルは優しすぎる所があります」
王「まぁまぁ・・・」
シリル「(さん、お幸せに。どうか、あなたの笑顔が常に在りますように。私もヴェールがより良い国になるようこれから頑張りたいと思います)」
シリル「・・・あなたとは違う、誰かと・・・」

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