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第7節 妃選び

・・・王の労いの言葉とありがたい言葉が続く。
既にルフィはヒマそうだ。
王「・・・今宵は我が息子シリルの妃を選びたく、皆に集まってもらった次第である」
にわかに女性陣が色めきたつ。
背筋を伸ばし、王の言葉を一言も聞き漏らすまいと耳を傾けている。
王「シリル、ここへ」
階段に王子があらわれる。両親と同じく優しい目を持つ美しい青年だ。
女性達からため息が漏れる。
ナ「はー、王子様ってカンジね。気品が漂ってるわ」
サ「ナミさん、ああいうのがコドビ(好み)?(泣)」
ナ「(うわ、めんどくさい・・・)」
シリル「皆さん。今日は私のためにお集まりいただきありがとうございます。お忙しいところ申し訳ない」
ロビン「腰の低い王子様ね」
「シリル様は王様とお妃様の優しい所をそのまま受け継がれた心優しき王子です。ヴェールが平和でいられるのもバルザック家の人徳によるものです」
ロ(確かに・・・。でもそれだけでいいのかしら。優しさと思慮深さ、強さも持ち合わせたネフェルタリ王家ですらあやうく・・・)
かつて自分が壊すことに加担し、あやうく壊しかけたとある国を思い、ロビンは鈍い痛みを感じていた。
ロ(私が偉そうに考えることではないわね。決して許されない罪。痛みを覚えることすらおこがましい・・・)
「・・・ンさん、ロビンさん」
ロ「あ・・・ごめんなさい、考え事を」
「いえ、いいんです。じゃあ聞いてなかったですね。シリル様、もうお妃様を決めていらっしゃるそうですよ」
ロ「そうなの。じゃあ何故この場を設けたのかしら」
前1「それもそうですね・・・」
ナ「あ、ロビン昼間のコと話してる。私も行こー」
サ(キョロキョロ・・・。いやぁ、女性ばかりだ! さすが妃選び。羨ましいぜ!!)
ナ「ロビン!と昼間の・・・」
です。こんばんは、ナミさん」
ナ「こんばんはー。あれ、私の名前・・・」
「ロビンさんに皆さんの事色々うかがってました」
ナ「そ♪宜しくねー(珍しいわね、ロビンがほぼ初対面の相手と・・・)」
シリル「・・・というわけで、皆さんを騙すような形になってしまい申し訳ないが、先ほどから給仕の姿で皆さんを拝見していました」
「「ざわざわざわ・・・」」
女性1「やだ、どうしよう。ちゃんと振る舞ってたかしら!」
女性2「がっついて食べなきゃ良かった・・・」
スーブー・ターブー「お母様・・・」
店主「大丈夫。どこに出しても恥ずかしくないよう、マナーは叩き込んである。完璧よ!!絶対に・・・絶対にあんた達が・・・」
シリル「・・・まだ、貴女の名前も存じ上げませんが、どうか私の妃になってくださいませんか」
シリルは1点を見つめている。
近くの執事らしき男に耳打ちし、執事がゆっくりと歩き出す。
自分たちを通り過ぎる執事に落胆の眼差しを向けながら、それでも皆執事の歩く先を静かに見つめている。
・・・ピタッ。執事の足がとまる。
執事「シリル様がお呼びです。ご返答はさておき、前までいらしていただけますかな」
執事の眼前には、の姿。
「・・・・・え・・?」
ナ「うわっ、すごい!!お妃様よ!」
ナミは興奮を隠し切れず目をしばたたいている。
スーブー・ターブー「そんな・・・・・っ!!!」
店主「(どういう事だい、これは。が選ばれた・・・!?)」
頭が真っ白のは、フラつく足元で執事に促されるまま、前へと足を進める。
その間も王子は話し続ける。
シリル「そちらの女性は、私の隣にいた給仕が皿をひっくり返してしまった際、手伝ってくれていた。周りの方が、ドレスが汚れることを気にする中、1人で」
の周囲にいた女性達が下を向く。
シリル「私が求めているのは外見だけでない、内面の美しさ。片付け終わった後の給仕へ向けた笑みを見て、私は確信した。この人しかいない。と」
だが・・・歩いて行くを見て、皆が気づき始める。
「あの娘、“契約者”だ」
「他に自分を捧げる者がいて王妃になどなれるのか・・・・?」
ザワツキが宮廷内に広がる。
店主(・・・マズい!!)
店主「おそれながら申し上げます、シリル様。私はあの娘の承諾者です。無くなったあの娘の両親に頼まれ、契約をいたしました。あの娘は自分の娘のように可愛がってまいりました。王家に仇なす考えなど無論私にはございませんし、私よりも王家の事を考えるようよく言い含めておきます!」
一番王たちに近い位置に陣取っていた店主が叫ぶ。
スーブー・ターブー「・・・・・」
ウ「何だ、ありゃ」
チョ「あいつすげェ嘘つきだぞ、ウソップ以上だな」
ウ「おい」ビシッ
ブ「素敵なご関係ですねー。ところで契約者って何でしょう」
フ「おーいおいおい。よくわからねェがいい話じゃねェか。クソ、泣いてなんかいねェぞ」
↑レストランにいなかったため、何もわかっていない2人。
が王子の前にたどりついた。
シリル「すぐに結論を出せとは申しません。考える事もあるでしょう。こちらのご婦人はああ言ってくださったものの、王家に契約者を迎え入れたケースが今までにありません。ただ、私の気持ちを知ってもらいたかっただけです。明日、またこちらのご婦人と一緒にいらしていただけますか」
店主「はい、もちろんでございます」
あまりの驚きに声が出ないの代わりにおばが即答した。
「それでは、これにて王家からの発表を終了とする。引き続き宴を楽しまれよ」
スーツ姿の男性が言い置き、再びパーティが始まった。
シリル「(さて、どうしたものか。あのご婦人と娘2人は見ていた。正直自分たちの事を良く見せようというばかりで、周囲への配慮、優しさは全く感じられなかった)」
王「うーーむ・・・シリルが選んだ娘、性格に問題がありそうなどとは思っておらぬ。だが、“契約者”の場合は、シリルよりも、バルザック王家よりも優先すべき事が出てきてしまう」
妃「ええ、そのとおりです。良くシリルと話し合わねば。それにしても・・・澄んだ目をした娘さんだったこと」
王「ああ。どうにかしてやりたいのォ・・・」

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